みかんを栽培するのには、毎年適した時期に肥料を与えてあげなくてはいけません。
人間が食事をするように、植物も栄養補給が必要です。今回は、私達みかん農家が実践している施肥方法を紹介いたします。
みかんの肥料
みかんや柑橘類に投入する肥料は、有機物や化学物を混合した配合肥料が投入されます。
よく肥料のパッケージに、7-5-5や8-6-5とか書かれているのは、左から順にチッソ-リン酸-カリの割合を明記したものです。
例えばチッソが7だとすると、配合肥料全体に対してチッソが7%含まれている事になります。
20㎏の配合肥料だと、チッソが7%ならば、1.4㎏のチッソ成分が含まれている事になります。
そして、その配合肥料に有機物が多く配合されていれば、有機何%かが明記されています。
私達みかん農家は肥料を選定する際は、栽培する園地や品種によって、チッソ-リン酸-カリの割合や有機物と化学肥料の比率が違う肥料を選定し、使い分けしたりしています。
みかんの施肥量
よく肥料を投入する目安として園地10アールに対してのチッソの量で表されます。
私達の有田地方でのJAの指導では、10アールあたり年間約20㎏のチッソを施すように推奨されています。
例えばチッソ7%配合の20㎏肥料ならば、10アールあたり年間14から15袋を園地に投入する事になります。
みかんの施肥に適した時期!
一般的には、秋(元肥)春(追肥)夏(追肥)という順に施肥します。
割合的には秋6-春4か、秋6-春2-夏2という具合に秋を主体に、あとは園地状況や樹勢により時期や施肥量を調整します。
秋肥
美味しいみかんを作るために、我々みかん農家は夏から秋にかけて、水分ストレスや着果ストレスをかけてみかんの木を疲弊させます。
秋肥は果実収穫後の疲労回復目的や、次年度への体力温存に重要です。
早生品種であれば、10月の中下旬。普通品種であれば11月上中旬が施肥時期となります。
遅れると根の休眠期に入ってしまい栄養分が吸収されないので、それまでに施してあげましょう!
春肥
みかんの木の活動期に向けての体力作りに必要です。
品種関係なく、3月上中旬か遅くとも4月迄には施してあげましょう!
夏肥
夏肥は根の活動が盛んな時期ですので、1年で1番養分が吸収されやすです。
その分樹勢の良い木に施すと芽ばかり成長し果実の品質が低下するおそれがあります。
5月下旬に樹勢の弱った木や直花(葉を伴わない花)の多い木に、化成肥料などの速攻性のある肥料を主体に施してあげましょう!
みかんの木の生態
みかんの木は、春から秋まで活動し冬は休眠します。
気温の上昇とともに、目覚めたみかんの木は春に新芽を出します。そして新芽が出た後から根が形成され、養分を吸収します。
肥料は施肥してもすぐには効かないので、春は根の活動期の初めに吸収できるように、根の活動前である3月の上中旬に施肥し、秋は根の休眠前に少しでも収穫後の疲労回復ができるように10月中下旬に施肥するのです。
夏肥に関しては、肥効性が高いので、樹勢の弱い木などに対しての体力強化には非常に効果的です。
まとめ
みかんを栽培するうえで、施肥作業は重要です。
みかんの木に施肥する肥料は主に、チッソ-リン酸-カリをバランス良く配合した配合肥料です。
施肥する時期としては秋(元肥)10月中下旬、春(追肥)3月上中旬、夏(追肥)5月下旬が施肥時期となります。
配合肥料の配合割合や施肥量などは各栽培園地の状況で各自調整して下さい。
施肥時期がずれるとみかんの果実品質に影響するので注意しましょう。
最後に
私達みかん農家にとっての施肥作業は、各農家のみかんの味や品質を左右する大事な作業であり、各農家ごとに施肥量やタイミングが違います。
園地ごとに特徴を見極め、木の具合を良く観察しながら調整します。
私の園地の場合、年間チッソ量が約20㎏施肥する園地もあれば、その半分の年間チッソ量が10㎏にも満たない施肥の園地もあります。
私の場合は「切り上げ剪定」を実践しており、「切り上げ剪定」をすれば植物ホルモンの流動が盛んになり、樹勢が良くなるので肥料の施肥量が少なくなります。
また、粉体やペレット体の肥料を少なくして、液体肥料やアミノ酸液肥などを数多く葉面散布する方法もあります。(樹勢が弱く発根の少ない木に効果的!)
沢山肥料を与えたからといって、美味しみかんが実とは限りませんが、健全な木を上手に施肥コントロールすれば毎年美味しいみかんが実ります。
自分に合った施肥方法を確立し、美味しいみかんを栽培して下さい。
今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。🙏