みかんの執事

みかん執事のひとり言。

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剪定作業の重要性と効率化

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私は時々みかんの栽培管理において、優先すべき作業は何であろう?と考える事がよくあります。

施肥?薬剤防除?除草管理?水やり?摘果作業?など年間を通しての管理作業を考える事がたまにあります。

年間作業を考えてさらに突き詰めてみると、私の答えは剪定作業の重要性に辿り着きます。

春先にはまだ昨年からの収穫作業の疲労や、中晩柑類の収穫作業がまだ残っていたり、他の作業でも施肥や除草作業に薬剤防除などたくさん仕事があります。

そんな作業の合間に剪定作業をしなければならず、ついつい面倒くさくなって疎かになりがちですが、やはり剪定作業をするしないではその後の管理作業に影響します。

今回は、剪定作業の必要性と効果について解説してみましょう。

 

剪定作業とは?

果樹栽培の剪定作業とは、主に樹勢維持や結果母枝の更新、枯れ枝除去や作業性の向上などを目的として、春先から初夏にかけて行われます。

剪定作業のメリット

樹勢の維持回復

みかんなどの果樹は、樹冠が大きくなればなるほど沢山の果実を実らせ、その分の栄養分を必要とします。

必要以上に果実を実らせると、樹体は疲弊し安定生産が出来なくなります。

そうならない為にも剪定作業で不必要な枝や枯れ枝などを剪除し、栄養分の調整やホルモンバランスを整え健全な樹体を維持します。

農薬散布が効果的になる。

剪定作業では枯れ枝の除去はもとより、薬剤のかかりにくい下垂枝や内向枝及び陰葉などを剪除する事により、薬剤がかかりやすくなるので薬剤散布量が節約できます。特にカイガラ虫類などは剪定する事により寄生密度が減少し、おまけに葉裏まで薬剤が届くようになり防除効果の向上と経理削減の相乗効果が得られます。

作業性が向上する

混み合った枝や、作業上邪魔な枝などを剪除し整理する事により作業空間が確保できます。

それによって、収穫、薬剤散布、施肥、除草管理と全ての作業性が向上します。

摘果作業の軽減

みかん栽培では第二次生理落果が落ち着くと、樹勢の弱い樹から荒摘果が始まります。

最初の摘果作業は、高品質が見込めない裾成り果や懐果を重点的に摘果します。

内向枝や重なり枝など、不要な枝数が多ければ多いほど摘果作業が多くなります。

裾成り果や懐果ができやすい下垂枝や内向枝及び陰葉などを剪定作業で剪除しておけば、摘果作業の負担が軽減されます。

施肥量の軽減

剪定作業をするしないでは、枝数や葉数が変わってきます。

枝数や葉数が多いと、養うべき栄養分が沢山必要となってくる為、それを補える肥料が必要となってきます。

剪定作業をする事により、枝数や葉数を調整でき適切な施肥量を維持できますし。

特に切り上げ剪定などは、栄養分の引き上げや植物ホルモンの分泌がスムーズになる分、減肥が可能となります。

隔年結果の是正

剪定作業で、健全な結果母枝を活かす剪定技術を身に着ければ連年着果も可能です。

高度な技術が必要とされますが、花と芽のバランスを適切に整えれば毎年美味しい果実が収穫する事ができます。

剪定作業のデメリット

技術力が必要!

植物の養分吸収の流れや生理作用など、ある程度の知識が必要です。

植物の生理作用を理解しないと、ホルモンバランスを崩して樹形が暴れ出したり、逆に樹勢低下や隔年結果を助長します。

だからといって何もしないと、技術や品質及び作業性の向上などは見込めません。

果樹全体の剪除率は20%以内に留めておくのがポイントです。

手や肩に負担がかかる。

剪定作業は楽そうに見えて、結構手首や肩に負担がかかる作業です。

鋸やチェーンソーなどが必要になると、さらに腰に負担がかかってきますし、電動剪定鋏などは取り扱いに注意しなければ非常に危険な鋏ですので、無理なく1日でこなせる仕事量を計画し、適度な休憩を挟みながら作業して下さい。

剪除した枝の処理

小さな剪定枝はそのままにしても構いませんが、大きな剪定枝は足下が邪魔になったり薬剤防除の際ホースが絡まったりしますので、邪魔にならない程度の大きさに解体するか園外に持ち出して処分しなければなりません。

私は剪定枝も有機物の補給と考え、邪魔にならない大きさまで解体しそのまま放置しています。

まとめ

みかん栽培やその他の果樹栽培に於いても剪定作業は非常に重要な作業です。

剪定作業をする事により、樹勢の維持回復や結果母枝の更新など収量維持には非常に重要な作業です。

栽培管理の面におきましても、剪定作業をする事によって薬剤散布が効果的になり、減農薬や減肥が見込めますし、作業スペースが確保できて作業効率がアップします。

しかし剪定作業はメリットばかりではありません、剪定作業にはある程度の知識と技術が必要です。

ただ単に枝を切り落とすだけでは逆に樹勢を低下させ、さらにホルモンバランスが崩れて花や果実が結実しなくなります。

切るべき枝を切り、その上で切り過ぎず切らなさ過ぎずの見極めが必要となります。失敗を恐れずに糧として技術向上に努めてほしいです。

体力的には、肩や手首に負担がかかる作業です。1日の作業量を計画し、疲労を感じたならば中断して休憩するか、その日は作業を切り上げましょう。

剪除した剪定枝の処分も必要となります。後の管理作業の妨げにならないような大きさに解体しましょう。

最後に。

私の果樹栽培では、管理作業を一年間通して見てみると、最も時間をかけているのが剪定作業です。

常に腰には剪定鋏と鋸を携帯し、切り残した枝や作業に支障をきたす枝などを常に切り落としています。

ただ闇雲に剪定するのではなく、枯れ枝を全て取り除き、出来るだけ節部に沿って切り残しができないように心がけています。

そして、剪除した剪定枝とて大切な有機物ですので、そのまま園内に放置し畑の肥やしとします。しかし大きな剪定枝をそのまま放置すれば邪魔になり、その後の農作業に影響してきますので、後の作業性を考えて剪除した枝を出来るだけ小さく解体し、園内に放置するか焼却処分し、その際できた灰を園内に撒いて肥料成分を補給します。

剪定法に関しても、切り上げ剪定などをすれば、根から芽や葉への吸収効率と成長ホルモンがアップするので、施肥効果や病害虫への抵抗性もアップするので減肥や減農薬が見込めます。

剪定作業は非常に奥が深く、すぐに結果が出るとは限りません。だからといって何もしなくては技術の向上も見込めません。

私の経験上隔年結果が強い今年は表年にあたる樹は、少し早い時期から取りかかり、多少剪定で切り過ぎても花は咲き結実もしやすく同時に新芽も伸びます。

逆に裏年ならばどうせ結実が少ないのだからと、剪定時期を遅らせたり、大きな枝を少し切り落とすくらいで表年の樹の剪定に集中します。

剪定作業に夢中になるとつい切りすぎてしまうので、樹全体の20 %の剪定を心がけましょう。

今回は安定生産や品質管理だけではなく、生産効率の改善やコスト削減などをも含めた、「みかん栽培における剪定の重要性。」を紹介いたしました。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

安くて万能な「発酵鶏糞」を果樹栽培にも活用しよう!

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世の中の不安定な世界情勢に伴い、さまざまな物の値段が高騰し、日本はおろか世界中がインフレ傾向にあります。

私達みかん農家も、インフレやら不作やらでみかんの販売単価も上昇しました。

しかし、販売単価の上昇と比例するように資材などの経費も値上がりし、我々農家の手元に残るお金は以前と何ら変わりません。

そこで今回は、経費を抑えつつ循環型農業にも取り組める万能肥料!「発酵鶏糞」についてご紹介いたします。

 

鶏糞肥料とは?

家畜肥料のなかでも、鶏の糞と木屑などを混ぜ合わせた有機質肥料です。

牛糞や豚糞と比べて肥料としての効き目が早く、土壌改良効果よりも肥料効果の方が高いです。

鶏糞肥料といっても、「生鶏糞」「乾燥鶏糞」「発酵鶏糞」「炭化鶏糞」などのさまざまな特徴を持った鶏糞があります。

「生鶏糞」や「乾燥鶏糞」などは肥料成分値は高いですが、まだ発酵させておらず鶏糞の匂いも強くて、さらに発酵過程でのガスや発酵熱が発生するので、根焼けや病害中の発生リスクも高く、デメリットの方が多いです。

非常に安価である反面、「生鶏糞」などは一般的には販売されておらず、取り扱いにくいので利用する農家も非常に少なく、おすすめはできません。

「発酵鶏糞」や「炭化鶏糞」は一度発酵処理や高温処理にて炭化させ発酵が終了しているので、匂いはなく病害中のリスクも少ないので使いやすいです。

とりわけ「発酵鶏糞」はお買い求めやすく、地元JAやホームセンターにて購入できます。

鶏糞肥料のメリットとデメリット

まず鶏糞肥料のメリットは、養鶏業などの副産物であるために、その他の化成肥料や有機質配合肥料よりも非常に安くて、カルシウムやミネラル成分も含んでおり肥料効果が高いです。

対してデメリットは、取り扱いに若干知識が必要で、果樹栽培などでは肥料残りがあり、着色遅延や減酸遅延の話を耳にします。

しかし、施肥量や適切な時期に施肥することにより化成肥料や有機質配合肥料と同じような肥料効果が得られます。

私が利用している「発酵鶏糞」

f:id:kriatenluciana:20250209182827j:image地元JAで取り扱われている「発酵鶏糞」です。

値段は少し高いですが、小石の様な粒状に加工されており、匂いも全くなく非常に扱い易くて、粒が徐々に溶けるので粉状鶏糞よりも効き目が長いです。f:id:kriatenluciana:20250209183619j:image

成分表示を見てみましょう。

f:id:kriatenluciana:20250210181127j:image全体のうち、窒素2.3% リン酸5% 加里2.8% c/n比11(※有機物の炭素100に対する窒素の比率。微生物が活発に有機物を分解する理想のc/n比は25)

その他にも、飼料に含まれるカルシウムや微量要素などバランスよく肥効性分が含まれています。

発酵鶏糞肥料の取り扱い!

「発酵鶏糞」の使用に関しては、数年間自身で使用した感想であり、あくまでもみかん栽培に特化した取り扱いです。

果樹栽培においては、以前からネガティブな噂ばかり耳にしましたが、価格の安さや圃場への有機成分の投入など興味がありました。

自身の情報収集を基にした考察と判断で、果樹栽培にも充分使えると判断し使用を開始しました。

結果を先に言えば、量と施肥時期を調整すれば何ら慣行肥料と変わらない結果だったのです。

完熟発酵された鶏糞を使用する。

あまりにも価格がやすくて、匂いが強い発酵鶏糞はまだ未発酵であり、完熟されている「発酵鶏糞」は、発酵が終了すれば発酵前と比較して匂いが非常に少なくなります。

私が使用している「発酵鶏糞」などは、ほとんど肥料臭がしません。

よく非常に安い「発酵鶏糞」を購入し、根焼けや、肥料効果が得られなかったなどの話を聞きます。

それはおそらく鶏糞の発酵が未発酵だったのでは?と考察されます。

いくら鶏糞が養鶏産業の副産物なので安いといえど、ある程度時間をかけて発酵させ、貯蔵場所も確保しなければならないので生産コストがかかります。

したがって、あまり安くて効果が得られない鶏糞は避けるようにしましょう。

しかし、経費優先で安い鶏糞を求めるならば自己責任で使用し、個人的にデータを取って考察して下さい。

使用量

よくJAなどで推奨されている施肥量は、窒素換算で10aあたり20kgから25kgとされ、堆肥だと10aあたり1.5tから2tだと推奨されています。

ですが、それはあくまでも統計的な推奨であり、自身の圃場における作物の健康状態をよく観察しながら増減して下さい。

例えば私の圃場の場合、樹勢が良い圃場では10aにつき発酵鶏糞は500kg以下の施肥ですし、保肥性の低い圃場では10aにつき発酵鶏糞500kgと土壌改良目的で、発酵牛糞500kgを施肥時期を変えながら、肥料効果と土壌改良効果を組み合わせながら施肥しています。

みかん栽培への施肥時期

よくみかん栽培への「発酵鶏糞」の施肥に関しましては、肥料残りによる酸高や着色遅延などのネガティブな話をよく耳にします。

しかし、私が独自の情報収集をもとに実際に自身で試してみた結果、春に地温が上昇し根の活動と共に素早く吸収されるように、1月中下旬から2月下旬の間が適した期間だと思えるが、作業負担の軽減を考えると、根の休眠期前から休眠期(11月中下旬から2月下旬まで)に「発酵鶏糞」を施肥し、なおかつ肥料分が足らない用であらば、根の活動期始めから吸収の活発期である、夏季(5月以降の最活動期)には「発酵鶏糞」は使用せずに、慣行の配合肥料や化成肥料を少量ずつ施肥したり、葉面散布剤の活用やミネラル資材の活用で対処する事です。

土壌phに注意する。

養鶏飼料には、鶏卵の生成に関わるカルシウム分を補給する成分が配合されています。

したがって鶏糞にもカルシウム成分の影響が出てきますので、鶏糞を施肥した場合には今まで投入していた石灰などの、土壌ph調整を目的としていた土壌改良剤の投入量を調整しなければなりません。(土壌phを測定したり土壌分析したりしましょう。)

しかし果樹栽培などでは、すぐに影響が出るわけではないので減らしながら様子を見ていきましょう。

まとめ

非常に安価であり、営農経費削減のために注目されている家畜糞資材。

その中でも「発酵鶏糞」は肥料成分やミネラル成分も多くて効き目が早いので、土壌改良効果よりも肥料効果の方が高いです。

「発酵鶏糞」を購入する場合は、多少値段が高くても、きちんと発酵が終了し匂いが少ない「発酵鶏糞」を選びましょう。

取り扱いに関しての施肥量は基本10aあたり1.5tから2tですが、各圃場の生育状況や土の状態を観察しながら増減して下さい。

施肥時期は春に根が動き出すと共に吸収されるように、1月中下旬から2月下旬までに施肥しましょう。

「発酵鶏糞」にはカルシウムやその他ミネラルが鶏のエサには配合されているので、鶏糞にもそれらの栄養素が含まれています。

土壌pHに注意し、カルシウム資材やミネラル資材の与え過ぎには気をつけましょう。

最後に。

一般的に慣行農法では、肥料の効く効かない(樹勢が旺盛か否か)は窒素成分が多いか少ないかです。

私の経験上、化成肥料から有機質100%肥料までさまざまなタイプの肥料を試して見ました。

結論を言えば、硫安や尿素などの窒素系化学肥料が多く配合されている肥料がよく効きます。

魚粕(窒素成分が多い)などの有機質だけの配合肥料は、効き目がゆっくりであり目に見えての効果は実感できません。

幸い私達の紀州有田地方は、みかん栽培には非常に適しており、化成肥料しか与えない農家さんや有機質肥料しか与えない農家など様々な栽培方法がなされていますが、どこの農家さんのみかんも、皆美味しいみかんが出来ています。

私の性格上、「どの肥料を施しても味がそんなに変わらないのであれば、少しでも安い肥料を与えよう!」と思えるようになり、安い鶏糞肥料を使用するようになりました。

よく有機農家さんなどは「肥料などの有機物は、良い土作りをしてくれる微生物のエサ」と考えられています。

すなわち、果樹が元気に育つ環境づくりの為の施肥であり、果樹が元気に育つか否かは樹を見て判断するしかないのです。

鶏糞肥料だけでは樹勢が弱いと感じるのであれば、化成肥料を与えてあげたり、高い配合肥料に戻したりしても私は良いと思います。

樹勢が良く健康で病害中に負けない樹こそが、美味しい果実がたくさん実らせ、私達農家に還元してくれるのです。

今回は安くて万能な「発酵鶏糞」を紹介してみました。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

 

 

 

農作物の栽培におけるカルシウムの役割と利用方法

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みかん栽培やさまざまな農作物の栽培に関して、「カルシウム」は非常に重要なキーワードの一つです。

「カルシウム」は、植物が成長する為には欠かせない栄養素であり、植物の免疫性を向上させ、健全に生育させる栄養素の一つであります。

私はみかん農家でありますので、みかん農家の視点から見た、農作物の栽培に非常に関わりのある「カルシウム」に、今回はスポットを当てて紹介していきたいと思います。

 

植物にとってのカルシウムとは?

カルシウムは主な肥料成分である「チッ素」「リン酸」「カリウム」の三大栄養素に次いで必要な栄養素であり、植物が成長する上で欠かせない栄養素です。

カルシウムの効果

植物の細胞壁を強化し、免疫性を向上させ、植物本来がもつ力を引き出し健全な状態に育みます。

アルカリ性の資材が多く、土壌の酸度(PH)を調整したりする役割もします。

果樹栽培では樹体を強化し、果実を引き締め、品質向上や腐敗果の減少などの効果が見込まれます。

根や葉はもちろん、果実の生育などにも影響を与え、欠乏すれば野菜などでは、トマトやピーマンなどは尻腐れし、白菜などは芯腐れの症状が現れます。

またみかん栽培などでは、過剰や欠乏などの影響で生育障害などがおこり、果実も果皮が軟弱になり、浮皮や果皮の腐敗果が増えてきます。

農業で使用されているカルシウの種類と利用方法!

苦土石灰

炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを配合したカルシウム資材です。

主に栽培品種ごとに適した土壌酸度(PH)の調整資材として使用されます。

石灰石が主成分であり、水にとけにくく微生物が分解し植物へ吸収されるので、ゆっくり溶けるので持続的な土壌改良資材です。

有機石灰

いわゆる貝殻などを主成分としたカルシウム資材です。

苦土(マグネシウム)配合品などミネラル補給を目的とした資材もあり、土壌の酸度(PH)調整やミネラル成分の補強などを目的とします。

主成分は貝殻など動物質ですので、穏やかに効き土を固めません。

肥料との近接施肥も可能で、酸度調整及びにミネラル補給を目的としてみかん栽培にも利用されています。

炭酸カルシウム水和剤

主に薬害軽減目的に銅成分の農薬に混用して使用されています。

又、炭酸カルシウム水和剤単体でも、害虫忌避の効果や果皮の水分調整などの葉面散布剤として使用されています。

「クレフノン」「ホワイトコート」「クレント」などの製品があります。

水溶性カルシウム

主に葉面散布剤として使用されます。

栄養成長期には樹勢を強化し、生殖成長期には品質向上が見込まれます。

ホウ素配合品などミネラルを強化した製品もあり、キレート化(酸と結合し植物に吸収されやすい状態)した製品もあります、定期的な施肥が効果的です。

みかんの浮皮軽減目的にも利用されています。

初めて使用する場合は薄めの希釈倍率で定期的に散布しましょう!

硝酸カルシウム

チッ素とカルシウムが同時に補給できる資材です。

チッ素成分は、より植物に吸収されやすい硝酸体チッ素で、カルシウム成分は水分に溶けやすい水溶性カルシウムです。

素早く植物に吸収されやすいので、追肥として用いられます。

そのまま圃場に施肥したり、水で希釈し葉面散布や灌水として使用する事も出来ます!

硫酸カルシウム

石膏が主成分であり、酸度は中性ですので、PHを変える事なくカルシウム補給できます。

く容性でゆっくりと効き、カルシウムと硫黄が補給できます。

カルシウム資材使用の注意点!

土壌改良剤として使用する場合は、肥料成分の拮抗作用を回避するために他の肥料との近接施肥は避けましょう。

葉面散布に使用する場合、リン酸配合資材との混用は結晶化するので、リン酸配合資材との混用はしないようにしましょう。

農業との混用の場合は、石灰硫黄合剤などのアルカリ性農薬との混用はしないで下さい。

まとめ

植物の生育には欠かせない栄養素の一つである「カルシウム」。

植物の栽培壁を強化し、土壌の酸度(PH)調整にも一役買っています。

農業界では、主に植物の生育環境の酸度(PH)調整やカルシウム欠乏予防、品質向上などの目的でさまざまなカルシウム資材が使われています。

みかん栽培などでは、ほとんどが酸度(PH)調整やミネラル補給などの目的で、昔から苦土石灰がよく施肥されていましたが、近年では土壌の粘土化を懸念して有機苦土石灰などが利用されています。

最後に

今回ご紹介したカルシウム資材は、酸度(PH)調整やカルシウム補給だけを全面にアピールした資材でありますが、その他の栄養素の補給を目的とした「ケイ酸カルシウム」に、「転炉石灰」や「燿燐」など総合的なミネラルを含んだカルシウム資材もあります。

私はみかん農家でありますので果樹栽培に適したカルシウム資材を試行錯誤しながら圃場ごとに適したカルシウム資材を日々模索しています。

これからの農業は、農薬と化学肥料を使用する慣行農法でも、低農薬と低肥料に舵取りをしなければなりません。

今現在でも残留農薬基準があり、厳守しなければ出荷は出来ないのです。

そういった低農薬と低肥料を実現させ、今までの農薬と肥料を使用した栽培方法と同等の効果を実現させるためには、「※リービッヒの最少率」で表されるように、カルシウムやマグネシウムにその他のミネラル補給を適切に施し、植物の免疫性を維持させる必要があるのです。

実際私自身も毎年少しずつ農薬やチッ素成分配合肥料を減らしていき、カルシウムなどのミネラル成分を補強し、以前と変わらないかそれ以上の外観や品質と収量を保っています。

興味を持った方は是非試してみてはいかがでしょうか!

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

 

リービッヒの最少率=(植物の成長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量の最も少ないものにのみ影響される。)とゆう説! ウィキペディア参考

 

有機農法、自然農法、慣行農法を分かりやすく説明!

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はじめに。

私達の食を支えている農業には、いくつかの栽培方法があります。

各栽培方法ごとに特徴があり、共にメリットとデメリットもあります。

だいたい現在行われている農業には、「慣行農法」「有機農法」「自然農法」と大きく3つの農法に区別できます。

今回はこの3つの農法にスポットを当て、分かりやすく説明していきます。

 

慣行農法。

慣行農法とは、今現在主流で行われている農法です。

適切な管理の下で、有機肥料や化学肥料を組み合わせ、病害虫が発生すれば化学農薬で対処する農法です。

栽培方法も確立されていて、大量生産が可能です。

デメリットは需給バランスによる不安定な価格と、資材高騰などの生産コストの上昇です。

有機農法

有機農法を説明すると、

•化学的に合成された肥料や農薬は使わない!(国が有機農法と認めた農薬は使ってよい)

•遺伝子組み換え技術を利用しない!

•自然環境に配慮した農業をする!

基本はこの3つの理念ですが、国が定める有機農法の基準というのがありまして、その基準に従った農法でなければ、収穫した農作物に「有機〇〇」と名記することはできません。

化学合成された資材を使用しないので、環境に対して優しいです。

デメリットは労力コストがかかり、慣行農法と比較して取り組み農家も少なく、技術的にもまだまだ発展途上の農法です。

しかし、BLOF理論などを活用し、植物自体が健全になれば増収も期待でき、これからもっと栽培方法も確立されてくるでしょう。

世界的に2015年に国連総会で採択されたSDGS(持続可能なな開発目標)では、自然環境への配慮なども含まれています。

したがって、国もこれからは有機農法に向けての舵取りをするでしょう。

BLOF理論とは?

(株)ジャパンバイオファーム代表の小祝政明氏によって提唱された、有機農法です。

内容を分かりやすく説明すると、経験や感ばかりに頼るのではなく、適切なデータを元に栽培管理すれば、増収増益が見込めるという理論です。

例えば施肥設計などでは、まずは土壌成分を分析し、リービッヒの最小率に基づき不足している栄養成分を調べ、不足する栄養成分を補う事により、その他の栄養成分も相乗効果で活用されるようになり、減肥と増収を見込めるという理論です。(ミネラル先行窒素後追いの施肥管理)

リービッヒの最小率とは=植物の成長には、必要な物質の内、与えられた量が最も少ない物質に影響される。

参考資料

ジャパンバイオファームhttps://japanbiofarm.com/blof/blof-top.html

自然農法。

自然農法とは、無農薬、無肥料で植物本来が持つ力を利用して栽培する農法です。

自然農法でも、管理栽培派と放任栽培派にも分かれています。

経費があまりかからず、収穫された作物は、植物本来の持つ高い栄養分と味を堪能できます。

デメリットは、肥料と農薬を少しでも使用すれば、植物のバイオバランスが崩れ病害虫に負けてしまいます。

過去に使用した残留農薬や肥料が浄化されるまで数年間は収益が見込めません。

敵地適作の品種選定や種苗選定を慎重に考えて、水分管理は必須です。

最適な品種選定と水源確保、残留農薬や肥料が完全に浄化されれば、慣行農法に迫る収穫も可能との事です。

どちらかと言えば、水分ストレスをかける果樹より野菜の方が向いているのではないかな?と私は思います。

そして有機農法と自然農法には、独自の販売網の開拓という課題もあります。

国も有機農法や自然農法の拡大を目指すなら、自然環境への配慮などの目標だけを掲げるだけではなく、販売環境の整備などにも力を注ぎ、農家さんには栽培管理に専念してもらえるようにするべきです。

まとめ

現在日本で行われている農業には、慣行農法、有機農法、自然農法と大きく分けて3つの農法があります。

慣行農法とは今現在日本では主流とされている農法です。

主に増産増収を可能とし、有機肥料や化学合成肥料及び化学合成農薬を使い分け、現在日本の食料事情を支えている農法です。

気候による増減や、それに伴う需給バランスによる市況価格変動や物価変動による資材価格の変動などの不安定さがデメリットです。

それに比べて有機農法とは、国が定めた基準以外の化学合成された肥料や農薬を使用しない農法です。

メリットは土壌に蓄積及び土壌からの流出された、残留肥料や残留農薬を軽減させ、より安心安全な農作物を栽培し、有機〇〇と付加価値を付けて販売できます。

デメリットは、慣行農法と比べて除草対策や防虫対策など管理コストがかかり、栽培方法もまだ発展途上ですが、これからもっと必要性が見込まれます。

上記二つの農法に対しまして、自然農法とは農薬と肥料をまったく使用せずに、雨水や落葉や動物の死骸などの自然分解による自然の摂理だけの栄養分と、植物自体が持つ抵抗性を引き出して栽培する、自然環境や食べる人にも非常に優しいい農法です。

農作物自体に力があるので、肥料成分の吸収消化が良いので、ミネラルが多く味が濃厚です。

デメリットは農薬や肥料の残留成分が少しでもあると、病害虫に負けてしまいます。

敵地適作や種苗選定と水分管理を必須とし、水分管理ができない圃場や、近くに慣行農法や有機農法で栽培されている圃場があれば、(外部からの流入により)自然農法は非常に難しいです。

新たに圃場開拓するか、残留農薬及び肥料が完全に浄化されて安定栽培できると、慣行農法に近い収穫量も望めます。

最後に。

世界情勢による資材価格高騰やSDGSなどの自然環境への配慮、世界的人口増加に対応する食料の安定供給など、クリアしなければならない問題が今農業業界が直面しています。

私が考えるには、有機農法は国から定められた基準があり、自然農法は肥料や農薬を一切使用しないので、それぞれの農法を変えることはできません。

しかし、有機農法の技術を取り入れた慣行農法というのは可能で、今現在も取り入れている農家さん達も増えて来ています。

日本の風土は海外の農作物栽培地域と比較して、年間通して湿度が高く病害虫が繁殖しやすい条件にあります。

慣行農法と有機農法のお互いのメリットとデミメリットを補い合い、有機物の投入やミネラル主体の施肥計画で植物の生理機能を高め、化学農薬と有機栽培適合農薬による薬剤防除で病害虫による減産リスクを回避することで、食料を安定供給しつつ、環境にも配慮した農業ができるのてはないかと私は考えます。

それとは別に、そういった農作物より付加価値を付けて、高値ではあるがより健康思考でより環境に配慮した消費者向けに、有機農法や自然農法で栽培された農作物を、消費者が選択できるようになる仕組みがこれからの農業経営には必要でしょう。

利益を上げている農家の共通点!

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はじめに

私達農家にとって、農業を始めたきっかけや理由などは、「実家が農家だから」「自然環境で仕事がしたい」「自身が納得できる農作物を作りたい」「のんびり自分のペースで仕事がしたい」などなど、人それぞれのさまざまな理由で就農するでしょう。

しかし、職業として農業を選択した理由は人それぞれですが、目的は皆農作物を作り、販売し、お金を得て生活する為です。

農業でより沢山のお金を得る為には、単純に考えると、より沢山の農作物を収穫し、少しでも高値で売れる事です。

その為には、

栽培面積を拡大し、収量を上げる方法!

高品質の農作物を作り、より付加価値を付けて高値で取り引きする方法!

栽培から販売加工まで、自身の販売ルートを確立させる6次産業化などの方法!

などいくつかあります。

今回は栽培管理(みかん)においての、いわゆる収量や品質面において利益を上げている農家(栽培面積を同一と考えた場合)にはある種の共通点があります。

今回はみかん栽培において利益を上げている農家さんにスポットを当て紹介していきます。

利益を上げている農家の共通点

圃場で栽培している作物の樹勢が良い!

毎年きちんと施肥計画を立て、春には剪定をし、堆肥の投入やミネラル成分の補給など各圃場ごとに調整しています。

植物成長調整剤なども上手に取り入れながら栽培されています。

木が元気なので収穫量も多く、収穫後の回復も早いように見られます。

数年前から経営計画をたてて実行している。

苗木を植えてから約30年を目安として、品質低下圃場や隔年結果化などが目立ち始めると、改植計画などを早くから計画し、補助金の申請や優良品種の苗木確保など、余裕を持って数年前から収穫量を逆算計算して計画に取り組んでおられるようです。

かけるべき所はお金をかける。

利益を上げている農家さん達は、栽培コストに関しては非常にシビアな所があります。

しかし、将来的な設備投資や、品質向上目的の経費など、自身が計算して最終的に利益が出るならば、惜しみなくお金をかけます。

その反面、いくら先行投資しているからといっても、利益が上がらないと見通せば、見切りも早いです。、

その他にも、自身の手が回らない時や、どうしても自身では上手くこなせない作業などは、専門家に依頼し、自身の得意な作業に専念します。

今経費をかけても、後にそれ以上の利益が出る計算こそ大切なのです。

躊躇なく間伐する!

普通の農家ならば、いくら将来的に間伐する予定で過密気味に苗木を植えても、成木になるにつれ、それまでかかった経費や収穫量の減少などを考えると、間伐するのを躊躇します。

しかし、利益を上げている農家さん達は密植気味になると、品質や後々の収穫量(間伐しても数年後には間伐前と同等もしくはそれ以上の収穫量を見込める)を予測して、躊躇せずに間伐します。もしくは、そういった心理を始めから予想して、植樹の時はあらかじめ間伐の必要が無い(苗木代の節約)ように、樹間を広く取って植樹しています。

私が思うには、成長して窮屈になった圃場の木を、間伐出来るか出来ないかを決断できる心理が、農場経営で利益を上げるか上がらないかの基準になると思えます。

品質面には手を抜かない!

職人気質とでも言いましょうか、利益を上げている農家さん達は、良い品質の作物を栽培するのには手抜きしません。

この一手間を惜しむと品質に影響するというのを理解しています。

たとえ多忙期にあったとしても、作業の優先順位を決めてやりくりしています。

そういった管理こそ高品質な作物の収穫や、高単価の販売価格に繋がるのではないでしょうか!

データ管理をきっちりしている。

年配の農家さん達は必ず作業日誌を事細かく書き記しています。若い農家さん達ならばパソコンを使ったデータ管理をしています。

農業は自然を相手に作業しているので、毎年条件が変わってきます。天候不順やそれに伴う病害虫の発生など、そういった気象条件に対応するにはより多くのデータを持っている方が有利です。

「農業は毎年が勉強!」と言われるくらい、気象条件に左右され、誰しも失敗する年があります。その様な失敗例と対応策をデータ化してまとめておくのです。

アナログであれ、デジタルであれ、より多くのデータを管理し適切に引き出せるかが、収益につながるのです。

高単価な作物品種をターゲットに栽培している。

高単価で取り引きされている農作物は、栽培しにくく収穫量を上げるのも、難しいです。

しかしその反面、単価の安い作物をいくら沢山栽培しても、あまり利益はあがりません。

利益を上げている農家さん達は皆、自身の栽培方法だけに固執せずに柔軟性があります。

情報収集能力が高く、高単価で取り引きされる農作物を上手に栽培されている人にコンタクトを取り、栽培方法に関するコツを聞き出すのが上手です。そして教わった方法を実践し、自身の栽培方法に取り入れます。

そういった考え方の柔軟性と情報収集能力の高さが、栽培しにくい農作物を作りこなす秘訣ではないでしょうか!

柑橘以外の農作物も栽培している。

これは分散投資とでもいいますが、柑橘類で利益を上げている農家さん達は皆、落葉果樹や野菜類、あるいは花卉類など科目の違う農作物や何かしらの副業もされています。

作業や収穫時期のずれる作物を栽培して、隙間時間の活用や労力配分、それに収入時期の配分などを考え、経済的にも負担がなるべくかからない様にしています。

その他にも、兼業農家として副業を持ちながら、農業でも利益を上げている農家さんも多いです。

よく働くが休日もしっかり取っている。

利益を上げている農家さん達は、とにかくよく働きます。

農繁期はもちろんですが、農閑期でも毎日作業内容を変えながら、農繁期に向けた準備や圃場の整備を行います。

整備された圃場は作業性がよく、普段から整備していない圃場と比べると、作業コストがかかりません。

そして、休日を制定して働く時はしっかり働き、休むべき日はきっちり休んで心身共に体調を整えています。

最後に。

利益を上げている農家さん達の共通点をまとめると、収穫を上げる為にはまず樹勢を整え、土作りや施肥管理、水分管理をしっかり管理します。

高値で売れる農作物にターゲットを絞り、栽培技術の向上や品質管理を手抜きせずに、同じ面積でもより収益が上がるように考えています。

生産コストを意識しながらも、設備投資や先行投資はしっかり実行します。

過去の作業内容や気象状況から、指導員や他の農家さん達から得た情報などを全てデータ管理し、毎年変わる栽培状況に対応しています。

科目の違う農作物の栽培や副業なども取り入れて、労力配分や経済的リスクを分散させています。

仕事日には集中して働き、休日を設けて心身共にリフレッシュして、体調のケアもしっかりしています。

今回紹介した、「利益を上げている農家の共通点!」をまとめて考えると、生産効率や経理の合理化を図る「経営工学」の理論と重なります。

しかし、合理化や経理上の数字を追及し、利益率の低い圃場の管理を置き去りにして、後に全体的な利益率、生産効率を落とした農家さんも多いです。

我々農家には合理的や利益率以外の、物作りにこだわる職人気質や仕事を通しての人生においての楽しみなど、数字的な利益では計りきれない楽しさや充実感があります。

利益を上げている農家さん達が仕事熱心なのも、そういった楽しみの中で思考錯誤し、人一倍農業を楽しみ、その後に利益が追いついてきたのではないでしょうか?

農業であれ何であれ、利益を上げるのは難しいですが、単純に利益を上げたければ、利益を上げている農家さん達のマネをすれば良いのです。

ただ利益を上げている農家さん達の、利益の上げ方をマネするのだけではなく、仕事に対する姿勢や楽しみ方なども参考にしてもらいたいです。

今回は「利益を上げている農家の共通点!」でした。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

 

みかん栽培の夏施肥: 収穫量と品質管理の鍵

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みかん栽培(特に経済栽培)において施肥計画は防除計画と並んで重要であります。

収穫量や品質管理の面でも収入に直結します。

今回は、みかん栽培における施肥計画の参考として、夏肥の重要性を紹介してみます。

 

夏の施肥

みかん栽培においての一般的な施肥計画としては、秋の元肥、春の追肥の年2回の施肥が推奨されていました。

夏の追肥に関しては、収穫期の着色遅延などを考慮して、樹勢の弱い樹への対策として、化成主体の速攻性肥料をスポット的に追肥されていました。

しかし、近年はみかんの高糖度化を目指して、マルチ被覆や完熟栽培など、さまざまなストレスを樹にかけ糖度を上げていきます。

みかんの樹に負荷をかければかけるほど、みかんの樹は疲弊し翌年には休むという隔年結果のサイクルに入っていきます。

近年はみかんの研究データも増えていて、みかんの生態もだんだん解明されてきています。

樹勢維持や光合成促進の目的として、春肥の施肥量を調整して、その分吸収の良い夏肥施肥へ分配する必要性が取り沙汰されています。

夏肥の施肥時期

みかんに適した夏肥の施肥時期は5月中下旬から6月上旬です。

このタイミングで夏肥を施肥すれば、分解された栄養分が果実と新葉へ供給され、樹勢維持と光合成による糖分の増加が見込まれます。施肥時期が遅れると栄養分が夏秋梢の発生へと供給され、果実品質の低下を招きます。

夏肥の施肥量

年間全施肥量を100%だとすると、マルチ栽培や完熟栽培では15%、露地栽培では10%の施肥量が良いとされていますが、あくまでも圃場の状態を観察し、樹勢の強弱や着花状態に応じて、「夏肥が必要か不必要か」「施肥量を増やすか減らすか」を判断してください。

夏肥に適した肥料

窒素N、リン酸P、カリウムKがバランスよく配合された肥料で、有機成分に対して化成成分が6対4や5対5のような、有機成分と化成成分の配合割合が近い速攻性肥料がよいでしょう。

葉面散布を活用する

極早生などの品種では、春肥としての配合肥料を省略して、夏肥を5月中に尿素(窒素)500倍の葉面散布をスプリンクラーで2回散布(極早生以降の品種ではさらに7月3回散布)することで、夏肥の効果を維持し施肥作業の労力軽減化が達成できると県のデータがあります。

尿素を葉面散布するならば、ついでに硫酸マグネシウム500倍を混用散布すれば光合成促進が見込めます。

葉面散布を活用することで減肥栽培も目指せます。

参考資料https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070109/gaiyou/002/seika/kenkyuseika_d/fil/21_2.pdf

まとめ

連年安定着果や完熟、マルチ栽培に対しての樹勢維持管理やみかんの品質向上対して、夏肥の施肥は大変有効です。

秋、春主体の施肥から、春肥の量を調整し年間施肥量の10%から15%を夏肥として施肥します。

施肥時期は5月中下旬から6月上旬くらいが適期です。施肥時期が遅れると肥料が遅効きし、夏秋梢の発生や着色遅延につながるので注意しましょう。

極早生みかんなどでは、春肥を省略して夏肥として尿素500倍の葉面散布を5月中に2回散布すれば、通常施肥よりも効果的とのデータもあり、施肥計画に葉面散布を組み合わせる事によって減肥も目指せます。

最後に

経済栽培としての現行農業は、収量増加や高糖度など、あくまでも人間によって都合の良い需要と供給による栽培方法です。

植物に無理な負荷をかければ、植物は疲弊し翌年には体力温存で栄養成長に入ります。

施肥管理とはそういった無理な負荷に植物が耐えられるエネルギーを補給する役割です。

元々自然界では無肥料、無農薬でも果実は育ちます。何も手をかけなくても、雨による大気中の栄養分と落葉や動物の糞や死骸などの有機物だけで植物は育ち、必要分だけの果実を実らせます。

よくみかん栽培では毎年みかんを実らせるには、収穫時には葉果比が25対1の比率、すなわち樹全体では葉数7割対果実3割で実らせ、適切な剪定と水分、施肥管理をすれば可能だといわれています。

これはあくまでも私個人の考えですが、ユダヤの自然比率である樹全体に対しての果実の比率が、葉数7割8分(78%)対果実2割2分(22%)以内であれば、草刈りと剪定だけすれば、それ以外何も手をかけなくても毎年自然にみかんが実るように思います。(だだし外観などの見た目は悪いです)

話は元に戻りますが、あくまでも圃場の状態を観察し、必要ならば適した時期に施肥をし、必要なければ省略し、葉面散布なども組み込みながら施肥計画を考え、できる限り減肥をし、安全で美味しい農作物を生産し、経費も抑えられるように努力して頑張りましょう。

今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

初心者でも簡単にできる本格的な野菜作り!

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昨年の4月から始めた家庭菜園!初めての夏野菜栽培では、あらかじめ土作りなどはせずに、野菜苗の植え付け寸前に、苦土石灰とダイアジノンを混ぜただけで、畝立てなどせずにそのまま支柱だけ立てて植え付けていました。

それでも不細工ながら、きゅうりやミニトマトなどは収穫できました。

やはり、少しながらでも収穫の喜びを知ると、再び栽培する意欲が湧いてきます。

続いての、秋の冬野菜の植え付け時には、本格的に土作りや畝立てをし、まともな白菜やキャベツが収穫できました。

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今回は冬野菜の経験をもとに、野菜作りの先輩方からのアドバイスも受けながら、2回目の夏野菜作りに挑戦してみましたので、夏野菜苗の植え付けまでの様子をご紹介いたします。

 

まずは土作り

用意するもの

鍬や三又。(耕運機が無い場合)

完熟牛糞堆肥

石灰窒素

ダイアジノン

黒マルチシート

手順1

全て一から耕すのではなく、冬に白菜とキャベツを栽培していた畝の部分だけを耕して、再利用しました。

再び畝を形成する2週間前に、できるだけ白菜やキャベツの根を取り除き、残りの残渣に石灰窒素と完熟牛糞堆肥を投入し、三又で打ち込み混ぜ合わせます。

※石灰窒素を使用すれば薬効が肥料効果に変わるまで2週間くらい放置する

手順2

2週間くらい放置した後、ネキリムシ対策にダイアジノンを三又で打ち込みながら混ぜ込み、鍬を使って畝を再形成します。

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降雨が少なく土が乾燥気味ならば、畝に水まきをして水分を補給しましょう!

できれば雨が降るのを待った後に、黒マルチシート(雑草や乾燥対策)を敷きたいところです。

シートが風でめくれないように、重しなどの抑えをしたら土作りは完了です。

マルチシートを使わない場合には、こまめに雑草取りなどの手入れをしましょう!

※石灰窒素だけでもネキリムシには有効です。

野菜苗を植える

あくまでも趣味の家庭菜園なので、少しずつ種類の違う夏野菜を、できるだけ同じ野菜苗が隣合わせにならないように、50㎝感覚くらいで植え付けました。

風に負けない様に、支柱を立てて苗を縛り付けました。

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今回植え付けた夏野菜苗は、キュウリ、シシトウ、ミニトマト、パプリカ、ナス、カボチャ、落下生などです。

※畝立てしてから土壌が乾燥気味でしたので、植物活性化の願いを込めて、酢酸1000倍希釈液の灌水をしてから黒マルチシートを敷きました。

値段は高いが、接木苗を買う!

接木苗とは、相性が良い種類の異なる台木と穂木を合体させた苗の事です。

お互い単体で育つよりも、それぞれの長所を生かし、相性の良い台木と穂木が合体する事による相乗効果で、より強く、より育てやすく、品質の良い野菜が収穫できるからです。

接木苗のデメリットは、種から育てた実生苗と比べて価格が倍以上高い事です。

しかし、定植後の成長具合や作物品質など、実生苗と比べて値段以上の価値があります。

どうしても値段差が気になる人は、値段が安い実生苗を頑張って育てましょう。

植え付け後の管理

野菜は植え付けてからの管理が大切です。

アブラムシやうどんこ病などの病害虫が発生したら、薬剤散布や忌避剤にて対処して下さい。

植え付けてからある程度成長したら、脇芽処理や誘引などの処理をしながら、様子を見て化成肥料などを追肥してあげましょう。

もちろん水分管理は重要です。

万能資材である石灰窒素!

先輩農家さんがおすすめしてくれた万能資材です。

石灰窒素製造のデンカ株式会社によると、石灰窒素とは、石灰石を原料とするカーバイドに高温で窒素を吸収化合させて製造する窒素質肥料です。

主成分のカルシウムシアナミドは土壌に散布されると土壌水分と反応し、シアナミドに分離されます。シアナミドには殺菌、殺虫、除草の効果を発揮し、やがて肥料成分に変わります。

先輩農家さんの話によれば、石灰窒素は薬効が強いので土壌消毒ができ、根コブ病や、センチュウなどによる連作障害にも有効だと教えてくれました。

最後に

物価高騰に危機感を抱き、昨年から初めて取り組んだ野菜作り。

以前母が管理していた家庭菜園を復活させてから私の楽しみとなりました。

昨年の春に、夏野菜作りにチャレンジしてから収穫の楽しさを覚え、秋からは土作りから畝立てまで取り組むようになり、より立派な野菜が収穫できるようになりました。

しかし、限りある場所での野菜作りは、続ければ続けるほど連作障害などの問題が出てきます。

昔ながらの、毎回場所を変えながら科目の違う野菜を植え付けるか、クロルピクリンなどのプロ農家が使う資材で消毒する方法しか知りませんでした。

幸いにももっと手軽に、しかも土壌消毒、施肥、pH調整まで一度にできる石灰窒素の使用法を先輩農家さんに教えていただきました。

石灰窒素を使用する時の注意点は、石灰窒素を投入してから、薬効から肥料に変化するまでは、2週間放置する事です。それさえ守れば簡単便利に使用できます。

私の野菜作りはまだまだ初心者であり、わからない事もたくさんあります。

しかし、幸いにも近所には家庭菜園を頑張っておられる先輩方も多く、わからない事があれば、皆さん親切に教えてくれます。

先輩方の経験から得た知識は、非常に参考になり役立ちます。

私自身もこれから野菜作りを続け、経験を積んで他人にアドバイスできるように頑張りたいです。

今回は、「初心者でも簡単にできる本格的な野菜作り!」では、の野菜苗を植え付けるまででした。

 

※参考資料デンカ株式会社石灰窒素 | デンカ株式会社 (denka.co.jp)