みかんの執事

みかん執事のひとり言。

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みかん栽培真夏の管理作業

f:id:kriatenluciana:20250629203036j:image梅雨が明け初夏から真夏へと季節が変わります。

みかんの栽培管理も幼果の生理落下も終わりに近づき、薬剤防除や除草主体の作業から、果実肥大期の水分管理へと作業内容も変わって来ます。

今回は、真夏の作業管理にスポットを当てていきたいと思います。

 

梅雨明け以降のみかん及び柑橘類の管理作業

荒摘果

7月に入ると第二次生理落下が終了し果実肥大期に入ります。

近年消費者の好むみかんを栽培するには、食味などの高品質果の向上をめざし、優先8月終盤以降の後期摘果が推奨されています。

しかしながら果実肥大がしにくい老木や樹勢の弱い樹などは、果実肥大を優先して熟期の早い品種から順に第二次生理落下が終了したら摘果作業に取り掛かりましょう。

早期に荒摘果で落とし過ぎてしまうと、大玉果や日焼け果を助長してしまうので、荒摘果では着果量全体の2割から3割までを摘果の目安とし、品質の上がりにくいスソ成り果やフトコロ果を重点的に摘果しましょう。

中晩柑類などの柑橘はLサイズ以上が好まれ品質も良くなるので、まずは中晩柑など雑柑類の荒摘果から取り掛かる農家さんもいらっしゃいます。

果実の肥大状況を観察しながら果実肥大が著しい樹などは後期摘果や仕上げ摘果まで様子を見ましょう。

 

薬剤防除

開花期から梅雨明けまでは薬剤防除の要注意防除時期ですが、梅雨明け以降でも薬剤防除は必要です。

なぜならば細菌感染や害虫類の最盛期がそれぞれの病気や害虫によって違うからです。

梅雨明け以降の薬剤防除についてまとめてみました。

夏場の薬剤散布は暑い日中を避け、朝夕の比較的涼しい時間に散布しましょう!

せっかくの薬剤散布が高温で逆効果にならない為にも、自身の体や農作物への負担を軽くし熱中症や農作物を薬害から守りましょう。

チャノキイロアザミウ

果皮を食害されると、加害傷が目立ち外観が損なわれ商品価値が低下します。

園地や栽培品種によって発生状況が違うので、発生園地は適応農薬を薬剤散布しましょう。

ミカンサビダニ

ミカンサビダニによる吸汁被害は、果皮が褐色になる被害果が見られます。

褐色の被害果は果皮に張りがなく、外観がひじょうに悪いです。

果実の糖度や食味など中身はなんら変わらないが、訳あり品でも消費者に敬遠され、加工柑でしか売れにくいです。

雨が少ない年などや、昨年に被害が見られた場合には必ず今年も被害果が出ますので

6月から7月にかけて薬剤防除しましょう。

尚、褐色果皮の被害果が見受けられたならば既に吸汁された後なので、被害果を摘果し次年度の被害軽減の為に薬剤防除しておきましょう。

尚、ダニ類に関しましては殺ダニ剤の使用は薬剤抵抗性がつきやすいので、薬剤容器に記載してある希釈倍数で使用する事と毎回使用薬剤を変更するようにしましょう。

ゴマダラカミキリ

5月後半からゴマダラカミキリ虫の成虫が確認されます。

ゴマダラカミキリの最盛期は6月から7月ですが、成虫の出現が見受けられれば速やかに捕殺し薬剤防除をしておきましょう。

ゴマダラカミキリの被害は成虫より樹に寄生した幼虫によるところの被害が深刻です。

寄生した幼虫の食害で、樹勢低下はおろか樹が枯れてしまう事も多いです。

株基や幹さらには枝などから寄生しますので、それらの部分からフラス(木屑の様な幼虫の糞)が見受けられれば、木屑の発生部付近をマイナスドライバーでほじくり、穴の様な所を探り当て、そこに先端部分をU字に曲げた細い張り金などを突っ込んで幼虫を釣り上げて捕殺しましょう。

捕殺出来なかった場合は園芸用のクレゾールタイプのスプレー剤を注入しておきましょう。

黒点

柑橘を栽培するにあたっては、最も注意しなければいけない病気であり、主に枯れ枝を媒介して発生します。

罹患すると果皮に黒い点がつき、被害果は品質が低下し消費者から敬遠されます。

開花期から定期的な薬剤防除が必要ですが、薬剤によっては使用回数や残留農薬の収穫前日数に注意して防除して下さい。(マンゼブ水和剤やマンネブ水和剤だけではなく、銅水和剤も上手く活用しましょう。)

薬剤防除も必要ですが、黒点病の発生原因である枯れ枝を出来るだけ取り除きましょう。

水分管理

梅雨が明ければ晴れる日が多くなります。高温の日が何日も続くようであれば、灌水をしてあげましょう。

不知火柑やはるみなどの中晩柑類は、比較的に乾燥に対して敏感なので、過度に水分ストレスをかけると樹勢の低下や果実が酸高傾向になり、逆に品質低下につながりますのでこまめな水分管理が必要です。

朝になっても葉が巻いて萎れているようならば、暑い日中を避け朝か夕方に10アールにつき10㍉から20㍉くらいの灌水をしてあげましょう。

対して温州みかんは中晩柑類と比べて比較的に乾燥に強い果物です。

品質向上目的で梅雨明けから水分ストレスをかけますが、8月半ば以降すなわちお盆過ぎから9月中旬くらいまでは、減酸を促す為に水戻しが必要です。

高温晴天が続き日照り状態になれば過度に水分ストレスがかかり、水分ストレスがかかり過ぎれば高糖度ではあるが酸高になり、逆に食味が損なわれるうえに減酸がすすむまで収穫時期も遅れます。

8月下旬以降雨が少ないようならば、10アールにつき20㍉くらいの灌水をしてあげましょう。

除草管理

夏場は雑草の生育が旺盛です。しかし各農家さんごとに雑草に対する管理方法は違います。

私個人の考えでは、作業管理や防虫対策として樹冠下と近隣農家さんとの境界線は除草管理が必要です。

よく草生栽培という管理方法を耳にしますが、土壌改良効果や夏場の直射日光から根を守る効果など、個人的にはおおいに理解と共感ができます。

それは私個人の理解であって近隣農家さん全ての理解ではありません。

自身の圃場は草生栽培でも、近隣農家さんとの境界線近くはこまめに除草管理しましょう!

そうした方が、近隣農家さんとのトラブルが少なくなります。

それ以外には、樹冠下まで草を生やすと加湿気味となり、ゴマダラカミキリなどの害虫が住みやすい環境となります。

草生栽培でも、圃場の境界線や樹冠下だけても草刈りや除草剤などで除草しましょう。

まとめ

梅雨が明け夏本番の季節となります。柑橘栽培では管理作業が忙しくなります。

この時期の作業としては、「荒摘果」「病害虫の防除作業」「水分管理」「除草管理」が主な作業となります。

摘果作業は果実肥大を目的としますが、過度な摘果は品質低下につながります。

まずは樹勢をみながら、樹勢の弱い樹や雑柑類から取り掛かり、スソ果や懐果を中心に摘果しましょう。

防除作業では5月から9月半ばにかけて重要防除時期となります。病害虫の発生状況に応じて適合薬剤を散布しましょう。

尚、夏場の薬剤散布は朝夕の涼しい時間に作業し、暑さによる身体や農作物への負担を軽減しましょう。

夏は日差しも強く、降雨が少なければ灌水をしましょう。

過度に水分ストレスをかけすぎると果実が酸高になるので、朝になっても葉が萎れているようであれば10㍉から20㍉程度の灌水をしましょう。

乾燥状態が見られたならば、まずは中晩柑類から灌水に取りかかりましょう。

高温多湿の夏は雑草の生育が旺盛です。作業効率や防虫目的の観点からある程度の除草はする様にしましょう。

最後に。

いわゆる梅雨明け後からのみかんの栽培管理は、収穫作業とはまた違う忙しさと高品質果を生産する上で重要な時期です。

上記で説明した管理方法はあくまでも作業内容であり、その後の天候による調整は、管理者の天候予測や手加減(手腕)により収穫期の品質に影響します。

よくスマート農業ではデジタル的なデータ管理を推奨されていますが、高い機器を導入してもそれはあくまでもデータであり、昔ながらの作業日誌と何ら変わらないどころか、当時自身が感じた気持ちを記入した作業日誌の方がデータとしては優秀だと私は思います。

それとやはり長年自身の肌で経験した記憶や感などはデータ以上の実用性があります。

よく行政と親しい若手農家などは、感や経験に頼らないドローンで見た画像やデジタル機器を活用したスマート管理農業などと言いますが、それはそれで参考となりますが「農業は毎年一年生」と言われるように毎年微妙に条件が変わってきますから、それに対応出来るのはある程度の経験を元にした感ではないでしょうか。

自身のスマートデータはデータとして参考にし、地域でのコミュニケーションを大事にし、長年経験されている農家さんの話を聞けるのであれば、それは何十年分のデータを入手する事と言えます。

なるべく老若男女の農業従事者さんとコミュニケーションをとり、より多くの情報交換をし切磋琢磨して地域の農作物の品質を向上させ、「豊かな農業、豊かな日本」を実現させましょう。

今回も最後までおつきあい下さりありがとうございます。🙏