みかんの執事

みかん執事のひとり言。

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自然環境の変化と農業:植物成長調整剤の意義と効果

f:id:kriatenluciana:20240202195632j:image地球温暖化などの影響もあって、自然環境も徐々に変化していきます。

農業をやる上では必ず自然環境の影響を受けますし、その年の天候や気温の具合で、豊作か不作かが大きく変わってきます。

販売価格に関しましても需給バランスが左右されるので、豊作年は価格が安く不作年には高値で取引されます。

しかし、経営として農業を営んでいるならば安定生産(安定収入)を目指さなければ経営が成り立ちません。

今回は植物ホルモンを少しでも理解し、植物成長調整剤を上手く活用する事で、安定生産や労力軽減になるように、植物成長調整剤の特徴や使用方法(みかんや柑橘類に対しての)などを紹介していきます。

 

植物成長調整剤とは?

植物成長調整剤とは、植物の成長や着果、発根を促進したり、また抑制したりする作用を持つ、植物ホルモンやそれに拮抗する薬剤です。

植物ホルモンとは?

植物ホルモンとは簡単に説明すると、植物の体内で自ら作り出す、植物の整理現象に作用するホルモンです。

一般的には、オーキシンサイトカイニンジベレリンエチレンアブシジン酸などが知られています。

みかんや柑橘類の栽培に適応される植物成長調整剤

ジベレリン液剤(粉末剤)

f:id:kriatenluciana:20240202202024j:image名前のとおり植物ホルモンの一種ジベレリンです。農業では一般的によく使用される植物成長調整剤です。

成長作用を促進させたり、発芽を促進させたりする働きがあります。また、同じ植物ホルモンであるオーキシンの作用を高める事がわかっています。

みかんの花芽抑制効果による有葉花率向上効果や果実の落下防止、ブドウの種無し果などさまざまな農作物に適応されます。

みかんの栽培管理には、樹勢維持•花芽抑制•浮皮軽減などの目的として使用されます。

副作用として着色遅延などの事例があります。

ターム水溶剤

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ナフタレン酢酸ナトリウムを主成分とし、植物ホルモンの一種オーキシンの活性を高めます。

みかんや果樹栽培などでは、摘果剤として使用され、濃度や散布時期によって全摘果、間引き摘果、部分摘果と使い分けします。

また夏秋梢の抑制にも使用されます。

副作用として、落葉や浮皮発生の事例があります。

フィガロン乳剤

f:id:kriatenluciana:20240204090945j:imageエチクロゼートを主成分とし、植物ホルモンの一種オーキシンの活性を高めます。

みかんや果樹栽培では摘果•熟期促進•浮皮防止などの目的で使用されます。

ターム水溶剤と同じく濃度や散布時期によって使い方が変わってきます。

副作用として樹勢低下の事例があります。

BA液剤

f:id:kriatenluciana:20240204095736j:imageベンジルアミノプリンを主成分とし、植物ホルモンの一種サイトカイニンと類似の作用を持ちます。

みかんやその他の農作物に適用されます。

みかんや柑橘類では新梢発生促進やハウスみかんの花芽促進に使用されます。

サイトカイニンは若返りホルモンとも呼ばれています。

副作用として、奇形果の発生事例があります。(摘果で対処できる)

エスレル10

エテホンを主成分とし、植物ホルモンの一種エチレンの作用をそのまま表します。

農作物での使用目的は、熟期促進•着色促進•摘果などに使われます。

アブサップ

主成分は植物ホルモンの一種アブシジン酸です。

みかんでは使用されませんが、ブドウの着色促進などに使用されます。

着色色素であるアントシアニンの生成を高めます。

ジャスモメート液剤

プロヒドロジャスモンを主成分とし、植物ホルモンの一種ジャスモン酸を誘導する働きがある植物成長調整剤です。

ジャスモン酸はエチレンとよく似た性質であり、植物の老化に関係しています。

農作物での使用目的は、熟期促進や害虫忌避です。

みかん栽培では晩生品種の浮皮軽減目的として、ジベレリン液剤との混用散布が高い効果を表しています。

バウンティフロアブル

パクロブトラゾールを主成分とし、植物ホルモンの一種ジベレリンの生合成を阻害します。

主に樹木や芝などの新梢発生を抑制する用途に使用されます。

あまり農作物では使用されませんが、川田温州みかんなどの樹勢が旺盛な品種に対して着果促進を目的として使用されます。

植物成長調整剤の使用上の注意点

植物ホルモンは微量でも生理作用が変わってきますので、植物成長調整剤を使用する際には各剤に明記されている用途、用法を正しく守り使用して下さい。

そして必ずしも満足いく結果が出るとは限りません。

まとめ

天候の順期や気候変化にできるだけ対応し、また労力軽減の軽減ができるように植物成長調整剤を上手に使いましょう!

みかん栽培ではみかんの性質上隔年結果性があり、豊作不作の表年裏年というのがあります。

隔年結果に対応すべく、剪定技術を向上させたり、ジベレリン液材とマシン油乳剤との混用液を散布して表年の花芽を調整したりする方法などがあります。(花芽抑制目的でジベレリンを使用すると有葉花が増え隔年結果の改善が見込める)

夏場の摘果作業の軽減としてターム水溶剤を使用したり、降雨が多く日照時間が少ない年には品質向上及び熟期促進目的でフィガロン乳剤の散布もします。

近年温暖化の影響もあり、中晩生みかんの浮皮被害が目立っています。ジベレリン液剤とジャスモメート液剤の混用液を着色初期に散布すると浮皮被害の軽減にかなり効果があると言われています。

またハウスでのみかん栽培では、加温前にBA液剤を散布し着花促進させます。

しかし植物成長調整剤のデメリットとしては、少量で値段が高い事と、必ずしも期待どうりの効果が表れるとは限りませんので(特に樹勢の弱った木など)、くれぐれも薬剤に名記されている使用時期や希釈濃度を守って使用して下さい。

値段の対策としてはJAなどの推奨品であれば、補助金が出たりしますので、分からない事があればJAの営農指導員に相談して下さい。

最後に少しでも植物ホルモンを理解し、上手く活用する事で農作物の安定生産につなげていってもらいたいです。

今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。🙏