みかんの執事

みかん執事のひとり言。

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みかん栽培品種選びのコツ

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農業で生計を立てていくのには、最初の品種選定が大変重要です。せっかく1年間世話をして外観も綺麗なみかんなのに, 「水くさく大味で美味しくない!」なんてこともたまに聞きます。

品種選定を見誤ると、みかんの味やその後の収益にも大きく影響してきます。

今回は、みかん栽培における品種選びのコツを紹介いたします。

 

 

園地の環境を理解する

適地適作と言われますが、各園地ごとに環境が違います。私が暮らす有田地方は、他府県と比べてみかん栽培の適地と昔から言われますが、みかん栽培に適さない園地もあります。

みかん栽培には、日当たりがよくて水はけがよいのが適地とされていますが、乾燥に弱いみかんの品種もあります。

まずは自身の園地環境を理解し、それから品種選定に取り掛かるようにしましょう。

みかんには様々な品種がある。

園地の環境が理解できたら、その環境に合った品種を選定しましょう。

例えば私の園地では、日当たりが良く乾燥しやすい園地には、田口早生や宮川早生などの早生みかんを栽培しています。

土が深く水気のある園地などには、乾燥に弱い由良早生や石地中生、みかん以外の不知火やはるみなどの中晩柑を栽培していますし、あまり日当たりの良くない園地には、八朔などを栽培しています。

このように、みかんの品種によって好む生育環境が違いますし、収穫した果実の味にも影響してきます。

「この園地にはこの品種がいいだろう!」「この品種を栽培するのはこの園地だろう!」というように考えて品種選定をしましょう。

労力配分も考慮する

これは、園地面積にもよりますが、いくら園地環境にマッチした品種選定をしても、広大な面積の園地に全て同じ品種のみかんばかり栽培したのでは、管理や収穫作業の時期が全て同時期になり、かなり大変です。

みかんには極早生、普通早生、中生、晩生、高糖系(貯蔵用みかん)などの成熟期や収穫時期の違う品種がありますので、収穫時期の違うみかんを組み合わせて、労力とリスクを分散させましょう。

それぞれの品種の特徴

極早生

由良早生=食味最高のみかん。日当たりがよく比較的水分を必要とし、過乾燥になれば酸高になり果実肥大が進まない。比較的水気の多い園地か灌水設備が必要。

上野早生=日当たりがよく水はけのよい園地が適している。乾燥しやすい園地では品質のよい果実が収穫できる。

その他の極早生品種=上野早生と同じく、日当たりが良く水はけのよい園地が適しています。

普通早生

田口早生=日当たりが良く水はけの良い園地が適している。乾燥しやすい園地では糖度が上がりやすく高品質、平坦地に植えると樹勢が良すぎてあまり品質が良くない。宮川早生や興津早生と比べて、着色や減酸が早い。

宮川早生=日当たりが良く水はけの良い園地が適しているが、あまり環境を選ばないオールマイティで栽培しやすい優良品種。

興津早生=日当たりが良く水はけの良い園地が適している。宮川早生と同じく栽培しやすいが宮川早生より若干糖度とコクが高い。田口早生の親にあたる。

中生みかん

向山温州=日当たりが良く水はけの良い園地が適しているが。早生みかんと比べて味が濃厚であるが浮皮になりやすい。

畝にすれば平坦地でも栽培できる。

きゅうき=向山と同じく日当たりが良く水はけの良い園地が適している。向山より浮皮になりにくく、着色も若干早いように感じられる。環境によっては浮皮になる。

石地中生=日当たりが良く水はけの良い園地が敵地ではあるが、乾燥に弱く過乾燥になると果実肥大が進まない、毛細根が非常に少ないので、強風で転倒しやすく、ある程度土が深く水気がある園地のほうが適しているとも考えられる。栽培は難しいが、浮皮にならず非常に濃厚で高糖度な果実ができる。

晩生みかん

林温州=日当たりが良く水はけの良い園地が適しているが、比較的栽培しやすく栽培環境も幅広いように思えるが、水分が多い園地や樹齢が高くなれば浮皮の発生する確率が高いように思われる

尾張系温州=林温州と同じく、日当たりが良く水はけの良い園地が適している。林温州よりは若干果皮とじょうのうが厚いように感じられるが、浮皮の発生は少ないように感じられる。

高糖系みかん

青島みかん=日当たりが良く水はけがよい園地が適している。大玉になりやすく摘果いらず。味は濃厚だがじょうのうが厚く、貯蔵向き。

丹生系温州=日当たりが良く水はけがよい園地が適している。浮皮になりにくく、連年結果しやすく貯蔵向き。着果結実するのにある程度の成長が必要。

総合21=日当たりが良く水はけの良い園地が適している。浮皮になりにくく貯蔵向きだが、年末に食べても美味しい。

雑柑、中晩柑

八朔=日当たりが良く水分がある程度ある園地が適している。みかんと比べて肥料を多く必要とするので、肥料流出が少ない平坦な園地が適しているように思われる。あまり日が当たらない園地でも栽培できる。

川野夏橙(甘夏みかん)=日当たりが良くある程度水分がある園地が適している。肥料を多く必要とし、果皮が厚く、ある程度大きな果実を作らなければ、皮を剥けば中身が非常に小さい。初夏に食べるとさっぱりと美味しい。

不知火=日当たりが良くある程度水分がある園地が適している。定期的な水分と肥料を必要とし、乾燥に弱く酸高や虎班症になりやすい。果実は非常に美味しく独特の食感がある。

はるみ=日当たりが良くある程度水分がある園地が適している。不知火と同じく乾燥に弱く酸高や果皮障害になりやすい。潰瘍病に罹患しやすくボルドー液などの防除作業は必要不可欠。味は非常に上品で美味しい。

せとか=日焼けに弱く、ある程度の日当たりと水分がある園地が適している。鋭い棘が多く肥料と定期的な水分が必要。棘が果実を傷つけるので風当たりが少ない園地が望ましい。味は「柑橘の大トロ」と表現されるように非常に美味しく、贈り物に喜ばれる。ハウス栽培向き。

まとめ

農業をするにわたっての品種選定は非常に重要です。

品種選定を間違えれば、高品質な果実ができなく、収益も上がりません。

比較的極早生や普通早生などの早く収穫するみかんは日当たりや乾燥する園地のほうが高品質なみかんができます。

中生みかん以降に収穫するみかんは樹の上での熟成期間が長いので、よほど水持ちがよく日当たりが悪い園地でなければ、それなりの品質のみかんが収穫できます。平坦地でも畝を立てれば水はけが良くなります。

あまり収穫時期が重ならないように考え、水分が多い園地でみかんは美味しくないのに八朔や不知火は美味しいというような園地もございます。霜がおりなければ、レモン栽培もおもしろいでしょう。

園地環境に合う品種と収穫時期なども考慮しながら品種選定をし、栽培計画を組み立てて、より高品質で高収益な果実が栽培できるように頑張りましょう。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。🙏