前回に続き、切り上げ剪定法を実際に試してみた。の実践編です。
「高糖度.連産のミカンつくり」を教科書にして、実際に剪定をやってみました。
今までの剪定法は、勢いの良い垂直の徒長枝を切除し、枝を横向きに残し日当たりを重視して切り下げていたのですが、今回はその逆で、徒長枝を残しながらスソ枝や下がり枝などを切除し、木全体を立ち気味の逆三角形になる様に仕立てていくのです。
実践
さっそく、甘夏ミカンの木の剪定に挑戦してみました。
剪定前の状態です。
この様に下がっている枝を上向き枝より少し内角よりに切除し、上向枝を残します。
枝が切り上がりました。
この様な方法で全体的に剪定します。
完成です。
かなりすっきりしました。
最初の年は、下がり気味の木を切り込むのに苦労しますが、毎年切り上げていくうちに切り込む作業が減り楽になるそうです。
(※過度に切りすぎると、植物のホルモンバランスが崩れるので、一回の剪定では全体の20%以上は切り落としてはいけない。)
植物ホルモンを理解する
著者は、高品質なミカンを毎年実らすには、植物ホルモンを理解しなければならないと書かれています。
花芽形成にはサイトカイニンとオーキシン言うホルモンが関係していて、剪定で切除した傷の癒合に、オーキシンとサイトカイニンが働いているとされています。
傷口には、根からサイトカイニンが、枝先からはオーキシンが集中し合体した時に癒合するのだそうです。
その枝先からと根からのホルモン交流をスムーズに出来るように、切り上げるのです。(著者は配管の原理と例えてます。)
そして、切り上げる事によって残した枝芽の下の切口にホルモンが集まり、環状剥離のような状態となり花芽が形成される理論です。
(※環状剥離とは成長旺盛で結実が悪い果樹の対処法で、あえてナイフで1〜2センチの幅くらい樹皮を剥き結実を促進させる方法)
植物ホルモンに関しても、今までは人工的に開発したホルモン剤を外から人が与える方法が一般的でしたが、切り上げ剪定法は植物本体が自分で作り出すホルモンを利用し、植物自ら作り出したホルモンをより効果的に活性化させる為の剪定方法なのです。
豊作年は早くから、不作年は遅れて剪定する。
豊作年は何もしなければ直花が沢山付き樹を疲弊させます。早い時期から剪定することによって、樹体内のジベレリンが活性化され発芽が促されます。
そうなることによって、直花は抑制され有葉花率が上がります。この有葉花を増やすことによって隔年結果が改善されるのです。
逆に不作年に遅らして剪定することによって花芽を誘発するようになるのだそうです。
剪定を終えて
何事もまずは挑戦という思いで、私も今回が初めての切り上げ剪定に挑戦したので、一度にたくさん切り込まずに、まずは裾まわりで止めておき、後から樹の状態を観察しながら微調整していこうかな?と考えています。
どうしても剪定方法が分からなかったり、葉数が少ない場合は果梗枝を整理するだけでも剪定になります。
毎年美味しいミカンが実ってくれる様に、新しい情報も取り入れて勉強しながら励んでいきたいです。
今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。🙏
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