味は非常に美味しく、果皮がなめらかで綺麗、浮皮にもならないと言う素晴らしいみかんがあります。
「川田みかん」(川田温州)といいます。
その様な素晴らしいみかんですが、栽培が非常に難しく隔年結果性が高いので、全国的に栽培面積が少なく希少価値があり、高値で取り引きされています。
今回は「川田みかん」について紹介したいと思います。
川田みかんとは?
「宮川早生」の枝変わりとして発見されました。
収穫時期は12月中旬から1月中旬にかけて収穫されます。
果実の特徴としては、扁球型であり果皮がなめらかで浮皮になりにくく、食味に関しましても、糖度が高く果皮やじょうのうが薄いので、非常に食べやすく美味しいみかんです。
またLサイズ以上の大果であっても、味ぼけしなくて美味しいです。
「じゃじゃ馬」と例えられる理由
味も非常に美味しく外観も綺麗な反面、樹勢が良すぎて着果が悪く、樹勢が良い割には緑化が遅く浅根であり、着果重量や強風などの影響を受けると傾倒しやすく、非常に栽培しにくいみかんです。
また、隔年結果性が強く連年着果を目指すのであれば、高度な栽培技術が必然とされます。
川田みかん栽培のメリットはあるの?
デメリットが先行されてしまいがちな「川田」みかんですが、もちろんメリットもあります。
メリット①
やはり味でしょう。高糖度なうえに糖酸のバランスが良く、じょうのうが薄くて非常に食べやすくて美味しいです。
年末から年始にかけて収穫されるみかんは、味が濃厚でコクがあるのですが、じょうのうが厚くて口の中に残ります。しかしこの「川田みかん」は先祖である「宮川早生」のようにじょうのうが薄くて食味良好なのです。
メリット②
わりと高値で取り引きされる事です。
美味しいみかんなのに栽培しにくく、経済栽培には不向きなどの理由により、全国的に見ても少ない栽培面積とそれに伴い出荷数も少ない事から希少価値があり、割と高値で取り引きされています。
メリット③
浮皮には非常になりにくい事です。
近年地球温暖化などの影響で、11月以降も暖かく熟成期に入っても根の休眠に入る時期が遅くなり、果実が降雨などの影響により浮皮や果皮障害に発達するケースが多くなっています。
したがって「川田みかん」や「石地みかん」のように栽培が困難ではあるが、浮皮になりにくいみかんは魅力的でもあるのです。
メリット④
摘果作業が楽である。
着果が悪いので果実の肥大がよく、摘果作業が楽ですし、摘果しなくても良い果実が出来ます。他の仕事に追われたり、別の品種の摘果に追われいたりする時などは、ほったらかしにできるので気が楽になります。
まとめ
「じゃじゃ馬みかん」と例えられる「川田みかん」。
素晴らしい味と綺麗な外観とはうらはらに、非常にクセが強くて栽培しにくいみかんです。
ですがやはり、味と浮皮しにくい性質は魅力的であり、私の園地でも数本の樹を栽培しています。
私は、かれこれ10年以上前に浮皮の少ない中生品種を求めて数種類の苗木を実験的に植えてみた中の1品種です。
私はわりと樹勢が良い品種のみかんが好みであるので、栽培しにくいが樹勢の強い「川田みかん」を10本だけ残して後の品種は処分しました。
植え始めての何年間かは、まったく着果せずに徒長枝が伸びるばかりでしたが、台風の影響で樹が傾いてから着果するようになりました。
そのような特性を利用して、土が深い園地にわざと苗木を傾けて植え付ける農家さんもいるらしいです。
高度な剪定技術や摘心処理に植物成長調整剤などを活用し、連年着果に成功されている農家さんもございます。
私はといいますと、わざわざ「じゃじゃ馬みかん」を飼い慣らそうとはせずに、隔年結果を受け入れて趣味的に少数栽培してその味を楽しんでいます。
あまり流通しないみかんではありますが、見かけたら一度買って食べてみるのをお薦めします。
今回は、味や外観の素晴らしさの反面、クセが強く栽培しにくい事などから「じゃじゃ馬みかん」と呼ばれる「川田みかん」のご紹介でした。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。🙏